第6回はBRICS(ブリックス)について。
出典:Wikimedia Commons (投稿者:Cflm001)
もともと「BRICs」とは、経済発展著しい国々の総称で、
B ブラジル(Brazil) 🇧🇷
R ロシア(Russia) 🇷🇺
I インド(India)🇮🇳
C 中国(China) 🇨🇳
4か国の頭文字をとって、2001年に世界最大の投資銀行ゴールドマンサックスのエコノミストが名付けました。これら4か国は定期的に首脳会談を行うなど、成長市場としての協力を進めてきました。
2011年、中国で開かれた会談では上記の4か国に加えて南アフリカも成長著しいアフリカ大陸のリーダーとして参加しました。
それ以降、「BRICS」と最後の「S」を大文字にすることで
南アフリカ(South Africa)🇿🇦も含めた5か国を指すようになっています。
これらの強みの一つは人口。
2018年の5か国の合計人口は30億人以上で世界の約41%を占めています。中国、インドはともに14億人、13億人という超人口大国であり、ブラジルも2億人、ロシアも1億4千万の人口を有しています。南アフリカは3600万人ですが、周辺のボツワナ、ナミビアなどと経済圏を共有しています。
つまり、安い労働力がたくさんいるので生産地としても有望で
大量の消費者が日々所得を増やしているので市場としても有望なんですね。
GDPを見てみると、その伸びを感じます。 BRICsができた2001年の各国GDPと現在(2018年)を比較してみましょう。
2001年(世界ランキング) | 2018年(世界ランキング) | ||
ブラジル | 5599億(11位) | 3.3倍↗ | 1兆8678億(9位) |
ロシア | 3288億(17位) | 5倍↗ | 1兆6572億(12位) |
インド | 4939億(13位) | 5.5倍↗ | 2兆7187億(7位) |
中国 | 1兆3440億(6位) | 9.9倍↗ | 13兆3680億(2位) |
南アフリカ | 1216億(36位) | 3倍↗ | 3681億(34位) |
参考:The World Bank: World Bank Open Data
私が受験をしていたころはこれらの国はあくまで「新興国」として、今後の発展が期待できると言われていました。しかし、今や中国は世界2位。日本の約3倍のGDPを誇る超大国となりました。
ほかの国々も順調に伸びています。インドもいずれは日本を抜くでしょう。
さすがゴールドマンサックスのエコノミストの予想ですね。
これらの国は資源大国・農業大国という特徴も持っています。
どれも広大な国土を有しており、
ブラジルは鉄鉱石生産2位、大豆生産2位、その他鶏肉や原油も多く輸出しています。
ロシアは原油、天然ガス、石炭、ニッケル、ダイヤモンドなど多くの天然資源の項目で世界トップクラスです。
インドは小麦生産2位、米生産2位、その他ダイヤモンドなど天然資源も豊富です。
中国は小麦生産1位、米生産1位、豚肉1位、また様々な野菜なども世界一の生産量を誇ります。日本でも中国産を多く見ますね。
南アフリカではプラチナ、鉄鋼、ダイヤモンドなどの生産が世界トップクラスです。
こうして書いていくといかにも「強そう」な5か国ですが、その成長にはこれから大きな差が出てくると考えられます。
(すでに中国は飛び抜けてしまいましたが。)
インドと中国の成長は今後も続き、世界2大超大国への道を進んでいくでしょう。
一方でほかの3か国は不安要因を抱えています。
ロシアは現在出生率が1.3で日本と同程度。旧ソ連諸国などから労働力を確保していますが、今後は人口の減少が予想されます。
ブラジルは経済不況が慢性的で、2015年、2016年と実質GDPの成長率はマイナスを記録しました。
南アフリカも資源と国有企業への依存が課題です。資源は価格変動が大きく、安い値段でしか売れなければそれだけ利益は小さくなります。さらに赤字続きの国有企業へ大量に国費を投入し、財政不安が続いています。
今後、BRICSは勝者と敗者に分かれてしまうのでしょうか。
まとめ
・BRICSの強みは人口による労働力と市場の大きさ
・資源と農産品も豊富
・インドと中国は超大国に。その他は今後どうなるか?
ではまた。