第16回はRCEP(アールセップ)について。
なんだRCEPって?
いつもいつも地理はアルファベットばっか並べやがって。
ほんとほんと。
でもこの記事で短くまとめてみます。
RCEPとは「Regional Comprehensive Economic Partnership」の略称で、日本語では「東アジア地域包括的経済連携」と呼びます。
似たような感じで、よくある貿易自由化とか経済連携の枠組みの東アジア版です。
現状の加盟国は全部で16か国。
ASEAN10か国に加えて地理的に近く経済規模の大きい国が参加しています。
・タイ ・インドネシア
・フィリピン ・シンガポール
・マレーシア ・べトナム
・中国 ・韓国
・日本
・オーストラリア ・ニュージーランド
・インド
出典:Wikimedia Commons (投稿者:未知との遭遇)
この協定は2017年にASEANの呼びかけによって始まりました。ASEAN内ではもともと経済連携が活発でしたが、さらなる成長を目指す彼らは周囲にある経済大国・人口大国を取り込もうと考えたのです。
※もともとASEANは日本や中国、インドなどと個別のFTA(自由貿易協定)を結んでいましたが、「もっと大きな枠組みで経済圏を共有しちゃえ!」みたいな感じでRCEPを作ったんでしょう。
たしかに、中国(14億人、GDP世界2位)とインド(13億人、GDP世界7位)、日本(1億3000万人、GDP世界3位)と経済協力できたらアメリカもEUも怖くないですね!
合計するとRCEP全体の人口は35億人で世界人口の約半分。
域内のGDPは25兆ドル以上と世界全体の約3割になります。
さらに参加国のほとんどはいまだに途上国・新興国。
ヨーロッパ諸国、アメリカ、日本などの先進国の成長率はせいぜい1~2%ですが、インドや中国は6~7%。単純に考えると100万円だった給料が来年は自然に106~107万円になるということです。
(上海)
こうした成長市場と協力を進めていけば、
成長がほとんど止まっている日本ももう一度経済成長を狙えるかもしれません。
2017年にトランプ氏が大統領になってから、アメリカがTPP(環太平洋パートナーシップ協定)から抜け、TPPの交渉がストップしました。
これはあくまで私の意見ですが、TPPの参加国よりもRCEPの参加国のほうがよっぽど魅力的で、日本にとっても強力なビジネスパートナーになると思います。
考えられる課題は、
TPPよりもRCEPのほうが参加国の経済レベルの差が大きいということです。
例えば、先進国である日本やシンガポール、オーストラリアなどは高いレベルでの合意が必要です。知的財産権や投資などの自由化が交渉の重要ポイントでしょう。
一方で、途上国の主要産業は農業や加工業ですし、そのような先進国と自由貿易協定を結んでしまうと自分たちの国の産業はボロ負けしてしまいますね。
よって、参加16か国すべてが利益だけを得られるというのは不可能でしょうね。
もう一つ課題は、
先日インドが「RCEPから脱退する」と言い出しました。
RCEPによって安くて質の良い中国製品がインドに入ってくると、まだ国内産業が中国ほどに成熟していないインドは負けてしまいます。
また、インドと中国は歴史的に仲が良くありません。インドとしては、「中国の良い商売相手になってたまるか!」という感じでしょうか。
現在人口13億人、GDP世界7位、さらに2050年には世界2位の経済大国になると予想されているインドが抜けると、RCEPのメリットは半減しますね。
日本はインドに残ってくれるように頼んでいますが、どうなることやら。
ニュースをチェックしていきましょう。
まとめ
・RCEPとは世界最大の経済連携協定。
・インド抜けちゃうの??
ではまた。