第17回はお金の話。
消費税増税から1 か月が経ち、それに伴う「キャッシュレス」が浸透し、街中でもよく耳にするようになりました。
政府の財源を増やしたい財務省の増税に対して、消費が落ち込むことを心配する経済産業省はキャッシュレスによるポイント還元を進めています。
電子決済(クレジットカード、スイカやEdy、PayPayなどなど)でポイントがたまることで、消費者にお得感を感じてもらうためです。
もちろん、キャッシュレスによって政府も得をします。
私が思うにキャッシュレスによる政府のメリットは3つ。
・電子決済による脱税対策:すべての会計取引が電子情報として残るので、税金の申告漏れなどを防ぐことができます。
・利便性向上による消費喚起:財布を出すよりもスマホで支払いできるのは楽なので、ついついコンビニや自販機で買い物をしてしまう人が増えるのでは。
・紙幣発行コストの削減:一万円1枚を発行するには25円かかるそうです。2024年の新紙幣発行時には一万円札が約100億枚発行される予定で、そのコストは2500億円!さらに硬貨はより高く、500円硬貨は1枚65円と最も発行コストがかかります。
ところで、「紙幣の発明」も「キャッシュレス」と似た感じで、「金や銀、コインを持ち歩くのは重いから、紙切れがお金になったら便利だなあ」という動機で始まりました。
先日、私は日本橋の日本銀行本店横にある「貨幣博物館」を訪れました。そこでは、北欧のスウェーデンが世界最初の銀行券を発行し、それが 1668 年の世界最初の中央銀行設立につながったと紹介していました。
「銀行券」とは銀行が発行する貨幣額を示した紙、つまり紙幣のことで、日本のお札にも「日本銀行券」と書いてありますね。日本では、江戸時代の商人が重い小判の代わりに「羽書(はがき)」という紙を使ったのが紙幣の始まりだそうです。
紙幣は「紙に書かれた金額の価値を持つ」という強制力を持ちます。25円で作られた紙切れでモノが買えるのは、この「強制力」と、日本銀行が発行していていつでもどこでも1万円の価値があるという「信用」があるからですね。
今、スウェーデンは世界で最もキャッシュレスが進んだ国とされています。高額、少額に関わらず、ほとんどすべての取引がクレジットカードか電子マネーで行されています。
スウェーデンの人々がスマホ上の数字とそれを支えるテクノロジーに「信用」を持っているんでしょうね。
出典:Wikimedia Commons (投稿者:Arild Vàgen)
日本では「クレジットカード使えません」という表示をよく見ますが、スウェーデンでは「no cash (現金使えません)」というお店が多いんだとか。
また、スウェーデンから来た友人は、「ホームレスが QR コードを持って物乞いをしている」と話していました。物乞いにお金を寄付する人も現金を持っていないし、ホームレスも現金をもらったところで使えないからいらないんでしょうね。
「お金」は 400年前も現代も、スウェーデンが常に最先端なんですね。ちなみにノーベル経済学賞はスウェーデン王立銀行の働きかけによって始まりました。
日本でも、「神社のお賽銭はQRコードで」なんて日が近づいているかもしれません。
未来のお金はどうなるんでしょうか?
今後もスウェーデンをお手本に、日本の「お金」の進化について考えていきたいですね。
まとめ
・キャッシュレスのメリットは脱税対策・消費喚起・貨幣発行コストの削減
・スウェーデンは常に「お金」の最先端
・お金のカタチは今後どうなる??
ではまた。