第10回は地理の頻出ワード、パナマ運河について。
パナマ運河は中米のパナマにあり、太平洋と大西洋の海路を繋ぐ世界的に重要な運河です。
太平洋側の首都パナマシティから大西洋(カリブ海)側のコロンという都市まで、約80kmを水路でつないでいます。ここは中米で一番細い陸地で、「パナマ地峡」と呼ばれます。
アメリカによって第1次大戦がはじまった1914年に開通されました。長らくパナマ運河はアメリカの海外領土として管理されていましたが、1977年にジミー・カーター大統領がパナマ政府に返還をしまし、現在その通行料はパナマ政府に入っています。
出典:Wikimedia Commons (投稿者:Thoroe)
この運河によって、
・アメリカ西海岸~ヨーロッパ
など、本来であれば南米大陸の南側をぐるーーっと回らなくてはならない海路(マゼラン海峡ルート)を大幅に短縮しています。
最近では中国などアジア経済の台頭により、アジア~アメリカ東海岸ルートの需要が高いそうです。
パナマ運河の通行料は船舶1トンにつき1ドル39セント。船の大きさにもよりますが、巨大なコンテナ船はなんと2000万円!!
過去最高額は豪華クルーズ客船「Norwegian Jade」の313,000ドル、日本円で約3000万円だそうです!!
そんなに払う価値あるのか??
と思いますが、
アジア~アメリカ東海岸ルートの場合、パナマ運河を通るとマゼラン海峡ルートより約21日短縮、燃料は81%も節約できるそうです。
船を航行させるには燃料費、人件費、食費、保険料などなどたくさんのお金がかかるので2000万円くらい元が取れるんでしょうね。さらに、早く目的地について貨物を下せば、また他の貨物を載せて別の港へ向かい、海運会社は儲けることができます。
この大量の通行料はパナマ政府のものになっています。また、パナマは現在「タックスヘイブン(租税回避地)」としての機能も持っており、外国企業がパナマに本籍を置くことで税の優遇措置を受けています。
20年前はパナマと言えば治安が悪いことで有名でしたが、現在は首都周辺では景気も良く、安定した国へと変わりつつあるようです。
話を戻します。
パナマ運河の重要ワードは「パナマックス(Panamax)」です。パナマックスとはパナマ運河を通行できる船舶の大きさの制限値のことです。
2016年にパナマ運河の拡張工事があり、現在は幅49mがパナマックスです。
拡張工事以前は、パナマ運河で一番狭いところが33.5mだったそうで、通れる船の幅は32.3mでした。ギリギリですね笑
YouTubeで「Panamax」と検索すると船がギリギリで通行する様子が出てくるので是非。
よって、多くの船舶がこのパナマックスに合わせて作られています。
出典:Wikimedia Commons (投稿者:Mariordo)
そんなパナマ運河ですが、実は競争相手もいます。
一つはアメリカの大陸横断鉄道。
アジアから来た船に載せたコンテナを、アメリカ西海岸で鉄道に載せ替え鉄道で東海岸のワシントンやニューヨークなど大都市へ運ぶルートです。
船に乗っているコンテナを詰め替えなしでそのまま鉄道に載せることができ、全長1kmにも及ぶながーーい貨物列車で、船に負けない大量輸送を実現しています。
もう一つの競争相手は幻のニカラグア運河。
実は、パナマの隣の隣の国、ニカラグアの南部に全長278㎞(パナマ運河の3倍)、幅60mの運河をニカラグア政府と香港企業の協力によって建設する計画がありました。
私が受験生の時は「ニカラグア運河ってのができるんだー」とワクワクしていましたが、現在資金不足などによって計画は中断しているようです。
パナマはホッとしているでしょう。
まとめ
・パナマックスは現在49m
・アメリカ大陸横断鉄道が競争相手
ちなみに、パナマ運河の特殊な構造についても書く必要があります。
それはまた今度。
ではまた。
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