イギリスのEU離脱もあり時事問題として出てきそうなので、要点を押さえておきましょう。
EUはネタが多くて書ききれないので、今回は歴史を扱います。
ヨーロッパの地域は古くから戦争の絶えない地域でした。古くは古代ギリシャ、古代ローマの時代から常にどこかが戦場になり、苦しむ人々がたくさんいました。
近代になって工業が国力の重要な要素となると、工業に欠かせない石炭や鉄鉱石の奪い合いが起こります。
ヨーロッパの中で石炭・鉄鋼が多く取れたのが現在ドイツのルール地方、フランスのアルザス=ロレーヌ地方です。当然ドイツとフランスはこの地域を奪い合い、普仏戦争(当時はドイツではなくプロイセン)など戦争を何度もしました。
第2次大戦後の1950年、フランスの外相ローベル・シューマンが「もう戦争なんかやめよう。。。石炭と鉄鋼はみんなで管理しようぜ。。。」と声明を出しました(シューマン宣言)。
ドイツ(当時は西ドイツ)、フランス、ベルギー、イタリア、ルクセンブルグ、オランダの6か国はこれに賛同し、1951年のパリ条約によって欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)が設立されました。
出典:Wikimedia Commons (投稿者:JLogan)
さらに上記の6か国は「経済協力もしよう!」ということで、ローマ条約によって1958年に欧州経済共同体(ECC)を発足させます。
また、ローマ条約は欧州原子力共同体(EURATOM)も設立させます。これは「原子力エネルギーを協力して開発、管理しよう」という感じ。
こうしてたくさん機関ができてしまったので、1967年にはこれらの運営を統一します。こうしてできたのが欧州共同体(EC)です。
つまり、ECとはECSC+EEC+EURATOMのこと。
ECにはその後、多くの国が加盟していきます。
・1981年加盟:ギリシャ
・1986年加盟:スペイン、ポルトガル
そして1993年にマーストリヒト条約が発効し、欧州連合(EU)が発足しました。
マーストリヒトはオランダの都市です。
EU発足後もEC(ECSC+EEC+EURATOM)は残っていましたが、2009年のリスボン条約によってECは消滅し、現在残っているのはEURATOMだけです。
EUの加盟国は1993年以降、ECの加盟国に追加される形でどんどん増えていきます。
2004年加盟:エストニア、ラトビア、リトアニア、チェコ、スロバキア、ポーランド、ハンガリー、マルタ、スロベニア
2013年加盟:クロアチア
ということで現在28か国が加盟しています。
EUは政治的偏りを持たせないために、言語を英語やフランス語などのメジャーな言語に統一していません。
欧州議会ではたくさんの翻訳のプロが集まり、同時通訳で議論が繰り広げられます。
出典:Wikimedia Commons (投稿者:Jordiferrer)
私は以前ベルギー・ブリュッセルのEU本部を訪れ、隣接するビジターセンターを見学しました。そこは、「いかにEUが戦争のない平和なヨーロッパを作ったか」を知らしめる展示でした。笑
でもそれは決して過大表現ではなく、加盟国間での協力によって戦争がほとんど起きなくなったのは事実です。2012年にEUはノーベル平和賞を受賞しました。
また、今後の加盟候補国として
・トルコ
・セルビア
が挙がっています。
まとめ
・ECSC+EEC+EURATOM=EC
・ヨーロッパから戦争をなくした平和機関
次回、「EUってなにしてるの?②」に続きます。
ではまた。
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